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臨床研修に関する省令等に対する意見

2002年11月20日
  〒102-0083 東京都千代田区麹町6-4 麹町ハイツ209号
  患者のための医療ネット(PMネット)
  http://www.pm-net.jp/
  代表理事 藤田康幸
  電話 03-3221-0355

 「臨床研修に関する省令等に対する御意見募集について」(平成14年10月22日厚生労働省医政局医事課)について、以下のとおり意見を述べます。

 なお、当ネットは、患者の正当な権利が尊重される医療をめざして活動している市民団体です。会員は、弁護士など法律家、医師など医療者を含め、さまざまな職業の会員によって構成されています。
現在、特定非営利活動法人(NPO法人)としての設立認証手続中です。

1 全体について
 「新たな医師臨床研修制度の在り方について(案)」(別添1)、「臨床研修病院の指定基準」(別添2)、「臨床研修病院の指定手続等」(別添3)は、全体としてすぐれていると思いますので、この方向で推進してほしいと思います。

2 インフォームドコンセントについて
 「臨床研修の到達目標について(案)」「I 行動目標」「医療人として必要な基本姿勢・態度」の中で、「2)医師、患者・家族がともに納得できる医療を行うためのインフォームドコンセントが実施できる。」とありますが、これは非常に奇妙な表現です。
 もし医師が自ら行う医療につき、医師自身が納得できない医療を行うとすれば、それはインフォームドコンセント以前の問題です。インフォームドコンセントとは、医師が自ら行う医療(特に、侵襲的医療行為やQOLに影響する医療行為など)について患者の自己決定権を尊重するために十分な説明を行い、その上で患者の同意を得ることを意味しています(なお、例えば、複数の治療法が存在し、そのうちの1つのみが医療水準となっているわけではない場合において、医師が自ら行わない医療につき、一定の説明義務が発生し、インフォームする義務を負うケースがありますが、そのケースでは、その医師との関係では同意は問題にならないと思います。)
 要するに、この箇所では、「医師、」の3文字を削除するべきだと考えます。
 そして、医学部教育の中で患者の権利に関する教育が不足している状況も考えますと、「患者・家族がともに納得できる医療を行うためのインフォームドコンセントが実施できる」という目標を達成するためには具体的にどのようにすればよいのかが研修医によくわからないと思います。
 したがって、インフォームド・コンセントの実施について、研修医の参考となる指針のようなものを作成して提供すべきだと考えます。

3 患者のプライバシーについて
 「臨床研修の到達目標について(案)」「I 行動目標」「医療人として必要な基本姿勢・態度」の中で、「3)守秘義務を果たし、プライバシーへの配慮ができる。」とありますが、このプライバシーは患者のプライバシーを指していると思われますので、「患者のプライバシー」と明記するべきと考えます。
 医学部教育の中で患者の権利に関する教育が不足している状況のほか、診療を通じて得た情報を研究に利用することなどが近時問題になっていることを考慮すると、患者のプライバシーの尊重のために具体的にどのようにすればよいのかが研修医にわかりやすいものを用意するべきだと思います。

4 患者の権利と臨床研修病院の基準などについて
 インフォームドコンセントや患者のプライバシーなど、患者の権利の尊重に関する事項は、「臨床研修の到達目標について(案)」「I 行動目標」の中に少し出てくるものの、全体としては十分ではないと思います。
 また、臨床研修病院や指導医が患者の権利を尊重する姿勢を示し、実践していることが必要と思いますが、それらに関する定めが弱いと考えます。

5 大学病院の臨床研修について
「新たな医師臨床研修制度の在り方について(案)」の「3.新しい臨床研修の在り方」「(1)臨床研修病院について」では、「大学病院が臨床研修を行う場合においては、臨床研修病院における研修と同様の考え方に則って行うことが期待される。」とされていますが、医療サービスの受け手である国民に真に役立つように、また、臨床研修を実りがあるものとし、研修医の待遇等の改善を図るためには、所管省庁の垣根を越え、一元化した制度を採用すべきだと考えます。

6 研修医の処遇などについて
 研修医が安い労働力の提供者として利用される危険があること、長時間労働などによって研修医の過労死などが危惧されることなどからすれば、研修医の労働時間の管理について、より具体的な定めを設けるべきだと思います。
 なお、研修医からの苦情等を受け付ける窓口(電話、電子メールなどによるものを含む。)を設けるべきだと思います。
 研修医の手当など「臨床研修の費用負担の在り方についても、施設整備や研修経費の助成、診療報酬における対応も含めて幅広く検討を進める。」とされていますが、非常に重要な問題ですから、検討のための素材や検討の過程などを国民に十分に知らせて、広く議論をしてから決めていくべきだと考えます。現状では国民への情報の提供が不十分と考えます。
                                
以上
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