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「医療保険制度の体系の在り方」「診療報酬体系の見直し」について(厚生労働省試案)の意見

2003年1月31日
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  特定非営利活動法人 患者のための医療ネット(PMネット)
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  代表理事 藤田康幸
  TEL/FAX 03-3221-0355

 「医療保険制度の体系の在り方」「診療報酬体系の見直し」について(厚生労働省試案)の意見募集に対し、以下のとおり意見を述べます。
 なお、当団体は、真の「患者のための医療」をめざして活動している非営利活動法人(NPO法人)で、法律家、医療従事者、医療被害者、その他の市民から構成されています。詳しくは、上記Homepageをご参照ください。

I.医療保険制度の体系の在り方について

1 保険者の再編・統合について
 本試案の方向で強力に推進すべきだと考えます。

2 新しい高齢者医療制度を含む制度改革について
 A案とB案については、(1)高齢者医療には固有の課題や対策等があり、それに即した対応をしやすくすること、(2)雇用関係が今後ますます流動化すると思われること、などからして、B案の方がより適切だと考えます。
 なお、対象年齢を75歳で区切るのが果たして適切かどうかについては疑問があり、例えば70歳や65歳とした場合のシミュレーションなどとの比較検討を十分行うべきですし、退職者医療制度とも統合する方が適切だと考えます。

II.診療報酬体系の見直しについて

 本試案には、現状の改善に寄与する点が多く含まれていると考えますので、この方向で見直しを推進するべきだと考えます。
 しかし、なお不十分な点があると考えますので、以下に述べます。

1 患者の視点の重視について
 本試案では、改革の基本的視点の1つとして患者の視点の重視が挙げられ、患者への一定の情報提供の推進や患者の選択の重視などが記載されていますが、具体性や実効性が乏しいきらいがあります。
 例えば、過剰な診療が行われたり不正な診療報酬が請求されたりすることを防ぐために、そして、そのようなことをする医療機関を受診することを避けることができるようにするために、診療を受ける患者一人ひとりの眼を活用すべきであると考えます。また、医療費のあり方、それについての国民負担のあり方について国民が状況を正確に認識することがますます重要になってきますが、そのためにも、国民が診療報酬の明細を正しく把握できるようにすることが重要です。
 したがって、診療報酬については、明細付きの領収証等の発行を義務づける方法、あるいは、明細付きの領収証等を発行しない場合は診療報酬を減額する方法などを採用すべきでしょう。
 そして、診療報酬についての相談窓口や苦情窓口を設けることが必要と考えます。

2 包括評価について
 本試案では入院医療などについて包括評価を実施することが盛り込まれており、それは前進として評価することができます。しかし、外来医療や手術等については出来高払いが維持されています。
 日本の現在の医療の最大の問題点の1つは、言わば、「下手な診療をするほど儲かる、良心的な診療をすると損をする」という仕組みになっていることだと考えます。このようなモラル低下促進構造を是正することが必要です。
 そのためには、外来医療や手術等でも可能な限り包括評価的要素を取り入れるべきだと考えます。特に、診療過誤や不適切な診療等に基づき必要となった医療費については診療報酬が請求できないようにする仕組み(具体的な仕組みとしてはいろいろなものが考えられます。)にすべきだと考えます。

3 高額医療機器に関して
 本試案では、大病院の外来医療に関して、医療機器の共同利用などを重視した評価を進めると記載されていますが、日本の医療の特徴として、CTスキャナやMRIなどの高額医療機器の数が諸外国に比べて非常に多いことが指摘されています(例えば、濃沼信夫『医療のグローバル・スタンダード』p.134)。
 その要因としては、このような高額医療機器を導入しても投下資本を回収しやすいように診療報酬が設定されていることが考えられます
 医療機関の機能分化や集約化を推進するためにも高額医療機器を利用した診療行為の報酬を再検討すべきと考えます。

4 医薬品に関して
 本試案では、医薬品の適正使用の推進や薬価算定ルールの見直しなどについて記載されていますが、日本の医療は医療費総額の中で薬剤費の比率が高すぎるのが特徴です(例えば、前掲書p.135)ので、それを是正できるような具体策が求められると思います。例えば、過剰な投薬を抑制できるような仕組みを考えるべきです。

                                                         以上