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「診療情報の提供等に関するガイドライン(案)」に関する意見


2003年7月13日
  〒102-0083 東京都千代田区麹町6-4 麹町ハイツ209号
  特定非営利活動法人 患者のための医療ネット(PMネット)
  Homepage http://www.pm-net.jp/ 
  E-mail pm-jimu@egroups.co.jp
  代表理事 藤田康幸
  TEL/FAX 03-3221-0355

「診療情報の提供等に関するガイドライン(案)」に関する意見募集に対し、以下のとおり意見を述べます。
 なお、当団体は、真の「患者のための医療」をめざして活動している非営利活動法人(NPO法人)で、法律家、医療従事者、医療被害者、その他の市民から構成されています。詳しくは、上記Homepageをご参照ください。

1 第5項について
 「診療記録の字句などを不当に変える改ざん」とありますが、「改ざん」は常に「不当に変える」ものにほかならず、また、「診療記録の字句などを不当に変える」が「改ざん」を限定する句ではない趣旨で書いているとしても、表現が不適切です。「診療記録の改ざんは、行ってはならない。」と端的に記載する方が適切と考えます。
 そのほか、「廃棄」についても禁止すべきです。なお、法令上の保存期間との関係がありますが、少なくとも法的責任が問題になりうる期間(債務不履行責任が問題となりうる10年間)は廃棄しないことが望ましいことが明らかですから、ガイドラインとしては、「最低10年間は廃棄してはならない」とすべきだと考えます。

2 第6項について
 説明すべき事項については、「治療目的以外に、比較臨床試験や研究などの他事目的も有する場合には、その旨及び目的の内容」(金沢地裁平成15年2月17日判決参照)、「処置及び治療により患者が負担すべき費用が大きく異なる場合には、それぞれの場合の費用」を加えるべきです。また、手術については、「執刀者及び助手の氏名」を加えるべきです。

3 第7項(2)について
 例えば、弁護士は、個人情報の保護に関する法律の第25条に基づく開示請求、それにつき訴訟上の請求も行うことができるが、そのような正当な代理人を排除するものと誤解する医療従事者等がいないとも限りません。
 したがって、「他人から委任を受けてその事務を行うことが法律上認められている者」を加えるべきです。

4 第7項(4)について
 「診療記録の開示に要する費用」の上限を設けないと、「開示」が実質上制限されるおそれがあります。
 国や地方公共団体の情報公開に伴う費用を超えない範囲とすべきです。国公立の医療機関と私立の医療機関で費用の区別を設ける合理性がないことにも基づきます。

5 第8項について
 「診療情報の提供が次に掲げる事由に該当する場合には、診療情報の提供の全部又は一部 を提供しないことができる。」とありますが、安易に全部を提供しないこととする事態を防ぐために、「次に掲げる事由に該当する部分につき」と限定すべきです。
 また、「(1)」の「第三者の利益」は拡大解釈をされるおそれがありますので、「<(1)に該当することが想定され得る事例>」のような事例を指すものであることがわかりやすいように、限定すべきです。例えば、「第三者から内密に得た情報であって、患者に提供することにつき第三者の同意が得られていないとき」とすべきでしょう。
 「<(2)に該当することが想定され得る事例>」として「症状や予後、治療経過等について患者に対して十分な説明をしたとしても、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治療効果等に悪影響を及ぼす場合」が挙げられていますが、「適切な配慮やサポート等を行っても」という限定を付けるべきです。

6 第9項について
 上記「2」で述べたことと同旨です。

7 第11項について
 「都道府県等が設置する医療安全支援センターや医師会が設置する苦情処理機関など」とありますが、「都道府県等が設置する医療安全支援センター」は、中立的な第三者として苦情処理にあたるものであり、患者等の正当な利益を擁護する立場とは限らないし、「医師会が設置する苦情処理機関」は、患者等の正当な利益と対立することがあります。
 少なくとも、患者の正当な利益を擁護する立場に立つことが期待される相談機関も明示すべきであり、弁護士会の法律相談窓口などを追加すべきです。

                                                         以上